かまくらULTLAプログラム2024年総括
プログラム
4年目を迎えた、かまくらULTLAプログラム。
このプログラムは、一人ひとりが個性や特性に応じて自分らしく学んでいく方法を見つけていくことを目的に鎌倉市教育委員会とSPACEが共同で開催している3日間の探究プログラムです。対象は、学校に通うのがつらいと感じている児童生徒たち。今年からは鎌倉市内在住と対象を広めました。プログラムは鎌倉の森、お寺、海など地域特性を活かした内容となり、子ども達はユニークな生き方をしている方の生き様に触れたり、マニアックに探究したり、カラフルに揺れ動く心を見つめ、なりたい自分に変身していきます。
ULTLAは、Uniqueness Liberation Through Learning optimization and Assessment(学びの最適化と評価による個性の解放)を意味し、地元のプロフェッショナルの方をナビゲーター(講師)としてお招きするなど、地域の方と一体となって作り上げることで、地域と子どもをつなげる場にもなっています。
鎌倉市が2025年度に開校を予定している学びの多様化学校では、探究学習プログラム「かまくらULTLAプログラム」の要素を採り入れた新教科「ULTLA」を導入することが決まっており、ULTLAでの学びは、広がりを見せています。
それでは、今年のかまくらULTLAプログラムの様子をご紹介します。
今年のテーマは『石と意思』。(実は今年はかまくらULTLAだけでなく、なごやULTLAも同じテーマだったのですが、なごやの様子は追ってご報告しますね。)海プログラム『とどめるチカラ』を9月7、14、15日の3日間、森プログラム『いしのキセキ』10月12、26、27日の3日間で開催しました。
海プログラム『とどめるチカラ』
海プログラムでは、地球が生み出した海と大地を題材として、実際にフィールドワークに海辺に出かけ、いま自分たちが踏みしめている足元の大地や目の前にどこまでも広がる海の中で起きていることを学び、子どもたちは気になる石を見つけて持ち帰りました。
一つは自分の意思を委ねるもの、もう一つは意思を留めるものとして。持ち帰った委ね石(意思)は、アウトリガーカヌーを仲間と一緒に漕ぎ、沖に出て祈りと共に手放しました。アウトリガーカヌーは、個人の意思だけでなく、みんなの意思、そしてわたしたち人間がどう足掻いても変えられない自然の意思、その全てのバランスで進みます。その経験が素晴らしいものであったと子どもたちの表情から見て取れました。そして、残した留め石(意思)は、玉手箱の中へ。玉手箱はそれぞれが自分の意思を岩絵具で表現した風呂敷で包みました。
3日目にはご家族の方にも参加していただき、子どもたちの作った玉手箱を通して彼らの意思を感じて一緒に祈っていただきました。その玉手箱もいつか開ける時がくるでしょう。その日がいつになるのかはみんなの意思次第でしょうか。
森プログラム『いしのキセキ』
森プログラムでは、石を活かした暮らしや文化を題材に、浄智寺とその周辺をフィールドとして学びの時間を過ごしました。石と言っても多種多様、それぞれに個性があって、そのそれぞれ違うパワーを持っているということを、ストーンヒーリングの体験から学びました。
また、フィールドである鎌倉の大地について、宇宙視点からどういう分類がされるのかを知り、目の前にある石はどんな分類ができるのかを考え協力しあって分類してみました。
石がたどった軌跡、古来からのサスティナブルな技術や知恵を使い人が暮らしてきた軌跡を、子どもたちは実際に黒曜石を叩き、ナイフを作るという体験から学びました。自分の意思通りになることもあれば意思と反することもあり、偶然生み出されるカタチのナイフに愛着を感じていた様子でした。
そして作ったマイ黒曜石ナイフで鎌倉野菜をカットしてみたり、ピザ生地を切り分けたりしてみてることで、学びの先にある“生きる”ことを感じたことでしょう。
3日目のピッツァ祭には、変身してみたい自分を想像し、意思と願いを込めてデザインしたピザを家族をはじめ、祭へ参加した人たちに食べてもらいました。そのピザを焼くアースオーブンにも子どもたちの意思があらわれていて、石を『ULTLA』と貼り付け、日にちは天体の並びで表現しました。
参加者の声
最後に、プログラム参加後のアンケートで、来年もまた参加を希望したいと答えた子どもたちは「新しい自分を見つけられた」「コミニケーションを取りやすいから」「毎年きてるから。楽しいから。自分らしくいられるから。」との声が挙げられました。また、プログラムを通していろんな自分に変身できたかという問いには半数以上が「そう思う」と回答し、保護者へ同じ質問を投げたところ、お子さんが色々な自分に変身できたと回答した人は8割を超え、プログラムを通じた子どもの変化については「笑顔が増えた」「自分の意志を伝えることが増えた」「精神状態が落ち着いた」と言った声を聞くことができました。
ゴツゴツした石も磨けば光る石になるように、子どもたちも内に持つ原石を磨いて奇跡を起こしていくことでしょう。時には意思を手放し、時には意思を貫きながら、いろんな自分に変身してみてほしいです。